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川畠成道 with 西本智実
&
 関西フィルハーモニー管弦楽団 
演奏会
〔2006/3/19(日)〕
感銘深いコンサートでした

〔愛媛県西条市総合文化会館〕

西条市総合文化会館のエントランス、受付に向かう人たち。
伊藤五百亀作
青年のブロンズ像や
池田満寿夫のリトグラフなど
ロピーには、見ごたえのあるものも
展示されています。
CDやDVD、書籍などの
即売も盛況
ホワイエ(ロビー)では
プレ・コンサートも開催
演奏曲目
@チャイコフスキーの、歌劇「エウゲニ・オネーギン」作品24よりポロネーズ
Aチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品35」
Bドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 作品95 新世界より」
座席は1152席
 (1階888 2階264)
大き過ぎず小さすぎず、
快適なホールです。

席はほとんど満席、
若い女性が多く、
頭頂の光っているものなどは
ほとんど見当たりませぬ。
西本智実 Nishimoto Tomomi

大阪生まれ。
1994年大阪音楽大学作曲家卒。
ロシア国立サンクトペテルブルク
音楽院留学。2002年、ロシア・ボリ
ショイ交響楽団ミレニウムの主席
指揮者に就任。
2004年、チャイコフスキー財団・ロ
シア交響楽団芸術監督・主席指揮
者に就任。

公式ホームページ
http://www.tomomi-nishimoto.com

     〔演奏会パンフから抄録〕
川畠成道 Kawabata Narimichi

視覚障害を負った幼少期に
ヴァイオリンと出会い、勉強を始める。
1994年、桐朋学園大学卒業後、
英国王立音楽院へ留学。
ロンドン、ニューヨーク、モスクワ、
世界各地で演奏。
2005年、イタリア・ボローニャ歌劇場
での同劇場室内合奏団とのヴィヴァ
ルディの「四季」は満員の聴衆が総
立ちとなりカーテンコールは40分続
いた。
「川畠成道Japanツアー2006」など
数多くのコンサートが決定している。
オフィシャルホームページは
http://www.narimichi.jp
 〔演奏会パンフから泉原が要約〕
2005年、チェコ・ナショナル交響楽団指揮コンサートのポスター
〔感想〕
1曲目、歌劇「エウゲニ・オネーギン」よりポロネーズは、「あれあれ、
大変だー、どうなっちゃうの!?」と驚いた。楽団員に油が回って
いないのか、練習や気合が不十分なのか・・・?という音。

2曲目、チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」。いつもよく聴く、
よく知られた名曲。独奏ヴァイオリンの音が、今まで聴いた
ヴァイオリニストの誰よりもまろやかに聴こえる。といっても
甘い感じではなく、特にカデンツァなど張り詰めた充実感に
思わず背筋を伸ばし耳を傾ける。至福の音場である。
第1楽章を終わったとたん、聴衆から拍手が沸き起こったのは
終わったと思ったのか、それともその迫力に引き込まれてのこと
だったのか、しばらく考えさせられた。

予想しなかった川畠のアンコール演奏が行われた。
曲は、イザイ(1858〜1934ベルギー)の
「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3 ニ短調 バラード」

J.S.バッハの「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ」を思わせる
短くはない難曲、骨太の音色と迫力、エネルギーある精神性。
チャイコフスキーの協奏曲でも、弓の「馬の尻尾」が
沢山切れて、川畠はポケットに仕舞い込みながらの演奏
だったが、このソロ演奏でも「馬の尻尾」は容赦なくひらひらと
気になるほどの切れよう、それだけ力のこもった演奏であった。

さらに、すごい「おまけ」がついた。
大袈裟に言えば、一生忘れられないほどのものか・・。
独奏者川畠の登退場の際、介添え役も務めている指揮者
西本智実、アンコール曲のソロ演奏中、すぐ傍で直立して
聴いている。何気なくその横顔に目をやって驚く。指揮者の
微動だにせぬ姿勢と表情、まるで名画に描かれた人物を見る
思いである。これは「ただごとではない」。いま予想もしなかった
大変な場面に立ち会っているのだ、と気付く。西本智実の体と
精神を通して、川畠のイザイに耳を傾けているような戦慄を覚える。

3曲目、ドヴォルザーク「新世界より」は、これもあまりにも有名。
弦の繊細さに低音部の豊かさが会場に広がる。生のありがたさ。
西本は、抒情に流れ過ぎず、かと言って硬くも冷たくもなく
きりりと引き締まった全体に、自然の壮大さや侘びしさ寂しさを
偲ばせるバランスのとれた感性を紡ぎ出す。
木管の温かさに金管の力強さ、打楽器の迫力と、
その魅力を存分に配分、男性でもこれほど緊迫した精神的
緊張感のある演奏は聴かせないのではないかと思わせる。
聴いていた小中学生の中に、「吹奏楽部で金管楽器を吹きたい」
などと決意した子がいたに違いない。
オーケストラのアンコールは、ドヴォルザーク「スラヴ舞曲」から。

どこかの大交響楽団のように、松山のような地方都市に来て、
アンコール曲としても取り上げられないような、ちゃらちゃらした
小曲ばかり並べて軽く演奏し帰って行くような
手抜きの選曲は絶対にしない、この「真剣」さを見習うべきだ。

川畠成道や西本智実のような芸術家を擁する今の日本は、
ある意味で世界のクラシック音楽界で最も優れた時代に
あるのかもしれない、と誇りに思うことしきり。
休憩の時間、
会館のロビーにて。
外を眺めたり、談笑したり、
余韻と期待を膨らませる。

小さな子供たちも多く、
たのもしい感じ。
川畠成道は、小学3年生のときの、薬害による
「スティーブンソン・ジョンソン・シンドローム」がもとで失明。
CD『川畠成道の“四季”
(ヴァイオリン)』¥3,045を購入、
サインを貰う。

握手までしてもらっている・・・

サイン会は長蛇の列。
入場前にCDを購入、早く並んで
いてよかった・・・。
演奏会を終え、水路に沿った遊歩道を帰る。
水の都、西条市である。
流れは清く、澄み切った色合い、
今日の演奏会にふさわしい。
コサギが遊歩道を歩き、そのあと
すぐに小さな子が自転車で通る。

「良かったね」と晴れ晴れとした
表情で帰って行く親子3人。

私も、心身ともにリフレッシュ、
まるで山歩きをした一日のような、
爽快で充実した気分。
2ヶ月足らず前に行われた演奏会も、
ブラームスなど素晴らしく力強いものだった。
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